面白かった。
久しぶりにしっかりしたものを見たな、という感じ。
原作は読んでいない。
私がぐっと映画に引き込まれたのは、主人公に手渡された iPod が
私の持っているやつと全く一緒だったから。もう他人とは思えない。
最後は命を救ってくれるし。
それから、マンホールをちゃんと分かっていること。
よく知らない人は、マンホールのフタが簡単に開くと思っているよ
うで、小説やアニメにもそういう描写があるが、実際のマンホール
は長い棒状のカギで外からしか開かない。
劇中、柄本明がちゃんとカギを使って開けていたのが素晴らしい。
主役の堺雅人は、いい人に見える顔だから、無実の罪で追われる役
にぴったりだった。
私がいいなと思ったのは、キルオを演じた濱田岳と、ショットガン
をぶっ放す公安の男を演じた永島敏行だった。
2人とも、気が狂っているのをクールに演じているのがよかった。
唯一、よく分からなかったのが、吉岡秀隆が演じる男の動機である。
主人公を呼び出してクルマの中で眠らせ、陰謀に巻き込まれている
ことを語るのだが、どうして妻のパチンコの借金でそんな国家的な
陰謀の手先になったのかが、いまいち説明されていない。
そもそも、彼が主人公を利用しなければ、この物語はスタートしな
かったとはいえ、あまりにも不自然すぎる。
小説にはもっとディティールが書いてあるのだろうか?
私は iPod のおかげで話に乗ることができたが、ここが納得いかな
い人は最後まで楽しめないような気がする。
この映画の興行収入はどうなんだろう? そこそこヒットしている
といいんだが。