セブン最終回の一考察

ウルトラセブン」の最終回を見て思ったことを書く。


セブンの最終回では、ゴース星人が地底ミサイルを発射して、人類
30億(当時)皆殺し作戦を通告する。
地球が降伏したら、火星の地下へ移住させるという。


地球が返事を渋っていると、見せしめに世界の都市が攻撃される。
第一にモスクワ、次にニューヨーク、ロンドン、パリの順番である。
これらはすべて第二次大戦における連合国だ。


劇中の炎の描写はすさまじく、かなり長い時間をとっている。
最後にはきのこ雲らしきものも見える。
明らかに原爆をイメージしたものであろう。


約1年間セブンを見て思ったのは、地球防衛軍という設定からも感じら
れるのだが、当時としてはかなり右の思想だったのではないか、とい
うことだ。


セブンが制作された昭和43年(1968年)というと、学生運動が盛んで
あり、左翼思想が大きな力を持っていた時代である。


そんな中で、地球を守る軍隊を中心に据え、侵略者たちを攻撃するド
ラマを作ることは、ラブ&ピースの風潮に冷水を浴びせるものではな
かったのだろうか? 


また、劇中にはキリヤマ隊長の親友で、ふだん宇宙ステーションに勤
務しているクラタという男が登場するが、彼の風貌やキャラクターは
明らかに特攻隊のパイロットである。


最終話「史上最大の侵略」で破壊される都市の最初がモスクワだった
ことも偶然とは考えられない。
当時の左翼学生にとって、モスクワは憧れの都市だったであろう。
それを模型とはいえ大爆発させるのだから、何らかのメッセージがあ
るとみていいのではなかろうか。


と、ここまで書きながら Wikipedia を見ていると、どうやら世界の
都市を破壊したシーンは、別の映画「世界大戦争」からの流用だった
ことが分かった。


破壊される都市の順番がどうなっていたのかは分からないが、流用で
ある以上、セブンを作った人があまり考えずに使ったことは明らかな
ので、私の考察は外れということになる。
面目ない。