無頼派で長生き

よく作家やミュージシャンに、周りの人に迷惑をかけまくり、人間関係を
ズタズタにしながら作品を発表し、早死にしてしまうタイプの人がいる。


本人も苦しかろうが、周りの人こそ大変で、早く死んでくれてよかった、
と思う人だっていたはずだ。


こういう場合、普通の人は縁を切ってしまう。
よほどその人に惚れ込んだ人だけが身の回りの世話をして、苦労をしょい
込む。
人生をずたずたにされることだってあるだろう。
ひどい話である。


もっとも、素晴らしい作品が後世に残されるだけまだマシで、たいていの
場合は迷惑だけかけて死ぬことが多い。
何のために生まれてきたんだこいつは、と思わざるを得ない。


私は、自分勝手に生きてきたが、酒を飲んで暴力をふるったり、借金をし
て他人の人生を滅茶苦茶にしてはいない。
むしろ、おとなしく目立たぬように生きてきたつもりだ。


だが、人間関係を自分から断ち切ることは、本当によくある。
何人か知り合いができ、メールのやりとりなどをしても、何か腹が立つこ
とがあると、もう一切連絡をとらなくなる。


相手はわけがわからないだろう。
私がなぜ怒っているのか理解できないはずだ。


こうして次々と人とのつながりを絶っていくと、当たり前だが孤独になる。
自分がそれを望んだから別に恨みはしないのだが、困った性格だな、と思
う。


これで早死にをすれば、まだ苦しまずに済むのだが、どういうわけか死ぬ
気配はない。おとなしく生活しているからだろうか。
長生きすることが辛いこともある。


一度でいいから、酒や女におぼれて、借金まみれになり、周りの人をさん
ざん苦しめてみたいものだ。
そういうことができない小物だから、長生きしてしまうのだろう。