凡人起業

凡人起業―「カリスマ経営者」は見習うな! (新潮新書)

凡人起業―「カリスマ経営者」は見習うな! (新潮新書)

塾を不当解雇されたとき、こうなったら自分で塾を立ち上げてやろうと
本気で考えた。
不動産屋で物件を調べて、備品をそろえて、チラシを撒いて、一年は無
収入でやれるような資金を準備して‥‥


そう考えると、あまりにリスクが高いような気がして二の足を踏んだ。
そして、起業する人はこういう面倒くさいことを全部やったんだなぁ、
と尊敬した。


この本では、そもそもなぜ中小企業の社長には変な人が多いのか、とい
う疑問から始まっている。


私も数々の中小企業を渡り歩いた点では人後に落ちない者であるが、確
かにおかしな人が多い。
こんな人が社長をやっていられるんだったら、自分でもできるんじゃな
いか、と思うこともしばしばだった。


しかし、起業で必要なのは、こういう人々に共通する鈍感さである、と
本書では結論づけている。
これにはなるほどと膝を打った。


鈍感さ、というのは、対人関係の鈍さである。
具体的にいうと、営業に行っても傷つかない心の強さだ。


普通の人は、飛び込みの営業なんてなかなかできることではないが、中
小企業の社長は当たり前のようにできる。
このタフさが重要なのだ、ということだ。


では、そういう強い心臓を持っていない人が起業するとき、どうしたら
いいのか。
その分野のエキスパートになって、起業する前からしっかり準備をして
おくことだ。


普通にサラリーマンとして仕事をするのではなく、自分が社長になった
らどうすればいいのか、というのを常に考えて、明文化されていないノ
ウハウを蓄積しておくことが大事なのである。


筆者は脱サラして、まずフランチャイズの学習塾を経営した、と書いて
ある。そこそこ生徒が集まっていたみたいだが、自分のやりたいことで
はなかったために、途中で経営権を譲渡している。


私としては、このあたりのいきさつをもっと詳しく知りたかったのだが、
あまり触れられていなかった。


将来的には、小さな英語塾を開いて、細々と生活していけたらいいなぁ、
と思うのだが、まだまだノウハウの蓄積が足りないようである。