亀

松山はあまり雨が降らない地域なので、小さなため池が点在している。
そのままにしておくのももったいないからなのか、ため池の脇にゴルフの
練習場を作っているところが多い。

普通の打ちっぱなし練習場は、フェアウェーを意識した地面に向かって球
を飛ばすのだが、うちの近所にはフロートボールを使ってため池に打ち込
むタイプの練習場がいくつかある。

ドラム缶などを利用した浮きに距離を書いておくと、どのくらい飛距離が
出たのかが分かるようになっている。
ボールは後からボートとタモ網を使って回収する。

今日、そのゴルフ練習場の横の坂道を自転車で登っていると、道の端に大
きな亀がいた。甲羅の縦の長さが20cmはあった。

このままではクルマに潰されてしまうと思ったので、その亀を持ち上げて
ゴルフ練習場の池に放り込んだ。

放り込んだ後で思ったのだが、そもそも亀は何をしようとしていたのか。
そして、どこから道路に上がってきたのかも謎だ。

もしかしたら、私は亀にとって重要なミッションを邪魔して、振り出しに
戻してしまったのかもしれない。
そう考えると悪いことをした。

浦島太郎のように、恩返しに来ることはなさそうだ。