- 作者: 向笠千恵子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: 新書
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それまでは、どこの牛だろうが牛肉は牛肉という認識だったらしい。
私も「今半」や「江知勝」ですき焼きを食べたことがあるものの、
すでにどんな味だったのか、ぼんやりとしか憶えていない。
いま思うと惜しいことをした。
すき焼きはハレの日の料理、という意識があって、自炊していると
滅多に作らない。
特に一人暮らしだとそうだ。
しかし、太る必要があったので、ここは牛肉を食べなければ、と奮
発してすき焼きを作った。といってもスーパーで売っているグラム
300円ぐらいの安い肉なのだが。
舌の上でふわっととろける、とはいかないが、がっつりと肉々しい
噛みごたえがあり満足できた。
質より量でカバーしたというか。
外で食べるにせよ、家で食べるにせよ、誰かとすき焼きをつつける
人は幸せである。
健康と同じで、当たり前だと思っているとそのありがたさが分から
ないけれど、失ってみると初めて分かるものだ。
この本の筆者も、誰かと食べる幸せを何度も書いている。
すき焼きというのは、そういう料理なのだ。
ところで、この本では、すき焼きはネギを味わうもの、という話が
出てくる。私も同感だ。
特に下仁田ネギの太いやつを煮て、生卵でからめて食べると本当に
旨い。
群馬県のネギだから、近所にスーパーは滅多に入荷しないのが悔し
い。