マーティ

たまたま見てしまった。
もてない男がふとしたことで女性と知り合い、前向きになって終わる物語
である。


米国人だって、もてない奴はもてないのだなぁ、と当たり前のことだが、
思ってしまった。
普通の娯楽映画では、そういう男女交際の暗部は描かれないものだ。
ある意味、ヨーロッパ好みの作品であり、パルムドール賞を受賞したのも
うなずける。
Wikipedia によると、パルムドール賞を受賞した米国映画は、この作品
ビリー・ワイルダー監督の“失われた週末”の2本だけだそうだ)


とはいえ、主演のアーネスト・ボーグナインはそれほど醜男には見えず、
あまり悲惨な印象はない。


日本のキャスティングでいうと、田口浩正ドランクドラゴンの塚地が、
光浦靖子と知り合っていい感じになる、みたいな展開だろうか。
これだと生々しいけれど、リアリティはある。


恋愛→結婚という流れが定着してしまうと、どこかで出会いの場所を設
定しなければならず、それは共同体が何らかの形で作っている。


この映画だとダンスホールであり、日本だと合コンとか出会い系サイト
だろうか。
だが、もてない男女はそこでも疎外されてしまうのである。


映画の結論としては、いつまでも独身でいることはあまりよくないこと
であり、お互いに妥協して結婚することがいい、というものだった。
1955年に製作された映画なので、まあそんなものだろう。


現在の日本では、妥協できない人が多いのかもしれない。
私もその一人である。
妥協せずに手遅れになるよりは、早いうちに手を打っておかねばならぬ、
と若い人には言っておこう。