英語の歴史

英語の歴史―過去から未来への物語 (中公新書)

英語の歴史―過去から未来への物語 (中公新書)

中学生に英語を教えていると、ときどき根源的な質問をされることがある。
たとえば、二人称の you はどうして単数形と複数形が同じなのですか? 
とか。


こういうとき、そういうことに決まってるの! 理由なんてないの! と
言ってしまえば楽なのだろうけれど、生徒にしてみれば納得がいかないだ
ろう。


私としては、うむ、それはだな‥‥とビシッと解説してやりたい。
そうすれば、ちっとは生徒も私の授業を聴いてくれるのではなかろうか、
という下心もあり、この本を読んでみた。


しっかりした内容で、さすがに中公新書だけある。
コラムも充実しているし、英語がどのように変化していったかをコンパク
トにまとめてあって非常に参考になった。
これをネタにいろいろ話ができそうだ。


ちなみに、どうして二人称の you が単数形と複数形で同じ形かというと、
相手に対する敬意を表現するとき、単数形で直接言うよりも、複数形でぼ
やかせて言う方が、より丁寧な表現になるからだそうで、その敬語表現が
定着したから単数形と複数形が同じになるらしい。


もともと、二人称の単数形は thou といっていたのだけれど、より敬意を
あらわす you の方が多く使われるようになったので衰退していったとの
ことである。


試験に出るわけでもないし、知っていたからどうというわけでもないけれ
ど、中学生をふーんと唸らせるぐらいの内容はあるのではなかろうか。