「ニッポン社会」入門

「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)

「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)

日本人ほど、外国からみた日本評を気にしている人々はいない、と言われる。
たぶんそれは本当かもしれない。


この本は、日本に滞在した英国人記者が書いたものを翻訳したものだ。
逆に、どこか別の国に滞在した日本人が書いたものを、現地の言葉に翻訳して
出版するところはあるのだろうか。
おそらく、あまりないと思う。


そして、本書でも指摘しているが、日本人が外国人に求めていることは、自国
の文化がいかにエキセントリックで特別なものかを認めてもらうことなのだ。
もう、そういうことは卒業しなければならない。


私がこの本で面白かったのは、英国料理について述べたくだりだ。
日本料理に比べてイギリス料理はまずい、という意見に対して反論するところ
がよかった。

 ベーコン、チーズ、パン、ビール。これらは日本のものよりもイギリスのもの
の方が断然おいしい。

と書いてあるのは、私も賛成だ。
特に英国のビールは世界一旨いのではないかと思う。


ただし、この後で筆者は英国の料理そのものではなく、英国で食べられる世界
の料理へと話を移しており、やはり英国の伝統料理にあまり旨いものはないの
ではないか、と疑念を抱かせる。


アングロ・サクソンの人々にとって、食事とは質ではなく量ではないか、と思
われるのだが、どうだろうか。


そういえば、このような日本に対する外国人のものの見かたを紹介する本では、
たいてい欧米の白人の著者が多いが、他の人種や国籍の人はどうなんだろうか。
ちょっと知りたい気もする。