今週末で公開終了になるので、あわてて見に行った。
原作を読んでいたので、イメージ通りの映画に仕上がっており気に入った。
後から調べて分かったのだが、おばあちゃん役のサチ・パーカーは、なんと
シャーリー・マクレーンの娘だそうだ。
最初に登場したときは、ちょっと違和感があったのだが、物語が進むにつれ
てなじんできた。
おばあちゃんが主人公の女の子と対立したとき、ひとりでタバコをくゆらせ
るカットがあるのだが、この後姿がとてもよかった。
原作を読んだときにも書いたが、この話は主人公のおばあちゃんが英国人で
ないと成立しないような気がする。
山奥でガーデニングをして、おしゃれなカントリーライフを送る老人、とい
う設定は、普通の日本人のおばあちゃんでは嫌味になってしまうだろう。
構造的には、女性の三世代のうち、性的なものを排除したおばあちゃんと孫
の関係を描いている。
性的なものの生々しさや嫌悪感は、すべてゲンジさんという木村祐一が演じ
た野卑な男に集約されている。
少女向けの小説だから、別にかまわないのだけれど、監督はバランスの悪さ
を感じたのだろうか、原作にはない郵便配達員を挿入している。
高橋克実が演じる、この郵便配達のおじさんは、いかにもいい人に創作され
ており、見ていてホッとできた。
主人公の女の子は、ときどき可愛く見える。いや、基本的に可愛い子なのだ
が、あまり華がない。今後、どう成長するか期待してみよう。
ひとつ不思議だったのは、原作にも映画にも、風呂に入るシーンが無いこと
だった。
電気は来ているが、ガスは来ていないようだったので、薪でわかす風呂があ
ったのかもしれない。
あと、米の飯を食べるシーンもなかったけれど、いつも食べているパンはど
うやって仕入れていたのだろうか。自分で作っていたのかもしれないが、日
常的なものを買いに行く場面も省略されていたような気がする。
ああ、そうだ。原作では母親の車はローバーミニだったのだが、映画ではト
ヨタのワゴン車になっていた。それだけが残念である。