日曜日にNHKスペシャル「沸騰都市」イスタンブール篇があった。
トルコは建国時にイスラム教と政治を分離し、西欧的な国造りを進めたが、
最近のイスラム教の盛り返しで、それが揺るぎつつあるらしい。
見ていると、江戸の文化を捨ててひたすら西洋化した日本の姿が重なる。
トルコはもう40年もEU加盟を打診しているのに、EUはキリスト教クラブに
イスラム教が入るのは嫌だと意地悪している。
このあたりも、日本と同じような感じがする。
そういえば国内に米軍基地を抱えているのも共通しているし、ロシアと戦
ったこともある点も似ている。
この番組の内容によると、トルコで経済の実権を握っている人たちは西欧
派だそうだ。
一方、庶民はイスラム教への回帰を求めている。
具体的には、女性が公共の場でスカーフを被るかどうかという問題で揉め
ている。
これは以前、フランスでも問題になったことがあり、やはり政教分離を重
んじたフランス共和国憲法に基づき、スカーフの着用を禁止したのではな
かったっけ。
この対立に妥協点は見つからないのだろうか?
非イスラム教徒の私からすれば、女性がスカーフを被ろうが被らなかろう
が、どちらでもいいと思うのだけれど。
もうひとつ気になったのは、イスタンブールではゲジコンドゥと呼ばれる
不法占拠住宅があるという。
地方からやってきた貧しい人が、勝手に家を建てて住み着いているのだ。
トルコの地方部は、そんなに疲弊しているのだろうか。
だとしたら、まず地方を取材しないと片手落ちになってしまうのではない
かと思う。
国が西欧化を目指している一方で、都市と地方での経済格差が深刻になっ
ているとしたら、「沸騰都市」とか言っている場合ではないのではないか。
どうも、このシリーズは、そのあたりの取材について、脇が甘いような気
がしてならない。