松本見聞録

わりと遅い時間帯だし、「働くおっさん劇場」みたいな感じかな、とあまり期待しないで
見た。
いや、実はちょっと期待していたが、裏切られた。


おそらく、軽い気持ちでスタートさせた番組で、松本自身も高い評価を求めてはいないの
だろう。
企画的には木村祐一の「写真で一言」、もっと言うならば雑誌VOWのネタで、目新しさは
ない。


しかも、見つけてくるものが面白いかといえばそうでもなく、スタッフの笑い声が妙に
うつろに響いている。
ロケの半分ぐらいは本人ではなく、別のディレクターが街歩きをしており、正直言って
見るに耐えない。


たしか松本がラジオ番組「放送室」で言っていたが、漫才におけるボケはツッコミもで
きるが、ツッコミはボケができるとは限らないそうである。
ネタを書いているのは基本的にボケの方であり、どのようにツッコんでほしいのかも計
算しているから、ツッコミに替わることも容易である、と。


松本見聞録」は、ふだんボケの松本が日常風景をツッコむ番組である。
このツッコミにキレがあるかどうかが面白さのカギだが、残念ながら自己満足に終わっ
ているようだ。


私は、いまの松本が低迷期のポール・マッカートニーのように見える。
浜田というジョン・レノンがいないと、どうもうまくいかないし、高須というジョージ・
マーティンも今の松本を輝かせることはできない。
ビートルズに例えるのはどうかという話もあるが)


東京に土地勘があれば、あそこは今こうなっているのか、と楽しめるけれども、地方の
人が見ても何のこっちゃ、と思うのではないだろうか。