今週の少年サンデーで「LOST+BRAIN」というマンガが始まった。
天才的な頭脳を持つ少年が、催眠術を使って世界征服を企む物語らしい。
マンガではよく、天才少年が登場するが、その才能を正しい方向に使えばヒーローになれるし、
逆に悪いことに使えば悪魔にもなる。
これまでの少年マンガだと、たいていの場合ヒーローになっていた。
同じ少年サンデーの作品でいうと「金色のガッシュ」の清麿がそうだ。
ところが、最近でいうと「DEATH NOTE」あたりから、自分は優れた人間なので、そうでない人間
を思い通りにしてもかまわない、というニーチェの超人を誤解したような思想を持つキャラクタ
ーが登場し、ヒットしている。
私は、このパターンのキャラクターを「超人くん」と名付けたい。
この「超人くん」に感情移入する読者は、“人類の粛清”とか“理想の世界”という言葉に弱い
のではないかと思う。
特に現状に閉塞感を抱いている若者などがそうだろう。
「超人くん」が活躍する作品がヒットするということは、いかにマンガの読者が世界のリセット
を望んでいるか、ということではなかろうか。
このようなキャラクターの元祖は、マンガでいうなら、手塚治虫の作品に登場する間久部緑郎
(ロック)がそれにあたるだろう。
「バンパイヤ」については以前書いたことがあるが、悪の天才の系譜は、現在まで受け継がれて
いると言っていい。
ただ、ロックはあくまでも自己陶酔の傾向が強かったが、最近の「超人くん」たちは、社会正義
に燃えている。
いっそのこと、ドストエフスキーの「罪と罰」を小畑健の絵でマンガ化してしまえばいんじゃね?
と思わないでもない。