スパルタカス

少なくとも10年ぐらい前に一度見たきりだったので、ほとんど忘れていた。
しかも、どっかで「ベン・ハー」と混同していたりして、紛らわしかった。
でも物語としては面白くて、180分以上の大作だが退屈するところはない。
古きよきハリウッド映画だと思う。


ただ、やはり古代ローマ史の知識があった方がより深く楽しめるわけで、私も見終わってから
クラッススとかカエサルとかポンペイウスなどの項目を Wikipedia で読んでみた。
三頭政治とか懐かしい単語が出てきて、そういや世界史で習ったっけ。


出演者を調べていて気がついたけど、ハリウッド映画と言いつつも、主なキャラクターは英国人俳優
が演じている。米国人はカーク・ダグラストニー・カーティスなどの奴隷側で、支配階級は英国人
なのは敢えてそうしたのだろうか? 


というのも、この映画は見ようによっては、自由の地を求めて欧州から脱出してきた米国人のアイデ
ンティティーをくすぐる内容であり、リンカーン奴隷解放宣言をにおわせる物語でもある。
もっとも、米国人たちは北米の先住民を虐殺してきたわけで、映画でも、スパルタカスが率いる軍隊
イタリア半島を移動するときに何をしてきたかは、巧妙に隠されている。


スパルタカス」が公開されたのは1960年だから、当然CGの技術などない。
なので、ローマ軍と奴隷たちが平原で戦う場面は、全部本当の人間を集めて撮影している。
恐らく、こうした映像は現在ではフィルムにおさめることができまい。
お金や時間がかかりすぎるからだ。


監督のキューブリックは、この作品は自分が唯一すべてをコントロールできなかったので、自作と認
めていなかったらしいが、左右対称な構図やローマ風呂での会話のシーンはキューブリックらしさが
現れていると思う。あと、あまり人間に興味がないような画面もちらほらあり、晩年の作品を知って
いると面白いかもしれない。


それにしても、米国人はなんでこう何度も何度も古代ローマを映画化するのだろう。
歴史ものでなくても、「スターウォーズ」の議会なんて、モロに古代ローマだし。
やはり歴史の短い国だから、自らをローマ帝国に重ね合わせて満足しているのかもしれない。
奴隷制度があった時代が理想的なものとは思えないけどなぁ。


本文と写真はまったく関係ありません

クラッサユ・カメサル・ガキペイウスらによる三頭政治が行われた