たまたま古本屋でコンビニ版の「キューティーハニー」を手に入れたので読んでみた。
(01年連載の新シリーズではなく、旧作)
基本的にアニメありきの作品みたいで、中途半端なところで終わっていた。
また、ハニーの親友が焼き殺されるなどショッキングな場面もあるが、ハニーがあまり心を痛めて
いるように見えないのも不思議だった。
だが、全盛期の永井豪だけあって、お色気シーンは素晴らしいものがある。
特にハニーが公園の銅像に変身し、体中を触られるところはよかった。
その後、エネルギーが不足したため、裸のまま公園の茂みに隠れ、他人の弁当を奪ってエネルギー
をチャージし、無事に服を着ることができる、というシーンが描かれている。
正義のヒロインが、全裸で公園の片隅に隠れている、というのが妙にエロい。
このマンガは、週刊少年チャンピオンで73年〜74年に連載されていたそうだ。
ちなみに青年誌のヤングジャンプが79年に、ヤングマガジンが80年に創刊されている。
それ以前にプレイコミックなど成人向けのマンガ雑誌もあったのだが、週刊少年誌を出版していた
集英社や講談社が新たに上の世代の雑誌を作ったインパクトは大きい。
なんで急に青年誌の創刊時期を書くかといえば、永井豪のエロティシズムは青年誌ではあまり爆発
しないのではないか、と思うからだ。
下品なたとえで申し訳ないが、日本のアダルトビデオはモザイク処理されており、あのモザイクが
あるからよけいにエロく見える、ということがある。
それと同様に、永井豪のマンガも少年誌のリミッターがあるからこそ生きるのではないか、と。
つまり、少年誌と青年誌の違いのひとつは、セックスの描写の有無だと思うのだが、永井豪作品は
直接セックスを描かずに、いかにそれに近いエロスを創出するかがキモだったのではなかろうか。
むしろ、ストレートな描写はひとつのことしか表現できないが、以前ここで紹介した「イヤハヤ南友」
のように、制限があるからこそSMやスカトロなどの多様な表現が可能だったのでは、と思う。
で、永井豪のファンサイトにある作品年表をみてみると、青年誌が創刊された79年からの仕事でヒ
ットした作品は「花平バズーカ」ぐらいで、むしろ漫画ゴラクで連載した「バイオレンスジャック」
の方に力が入っていたような気がする。
(なお「花平バズーカ」は小池一夫原作である)
現在の少年誌でもエロ枠とでもいうべき作品があって、必ずパンチラやブラチラがあるマンガが掲
載されている。そのエロ度は各雑誌ごとに違っていて、私的には週刊少年チャンピオンが最も高い
ような気がする。
ただ、エロければ面白いかというとそうではなく、たとえば少年ジャンプで連載されていた「いち
ご100%」のように、エロと恋愛をうまくミックスさせたものでないとヒットはしない。
ところで、いまの子供たちは、その気になればインターネットからいくらでもエロ画像やエロ動画
をダウンロードできるわけである。
そういう環境にいる思春期の少年たちが、はたしてマンガのエロ描写で欲望を満足できるのかは疑
問なのだが、二次元のエロスに目覚めてしまった子は、そのままオタクになるのかもしれない。
願わくば、永井豪のマンガを読んで、もどかしい思いをしながらも興奮してもらいたいのだが、そ
ういう健康的な(?)エロスは、もはや成立しないのかと思うとオッサンとしては寂しい。
ていうか、マンガすら読まなくなって、携帯からエロスをダウンロードしているのでしょうな。
本文と写真はまったく関係ありません
( ^▽^)<キューティーチャーミーさ!