メガチャーチ

今日の「クローズアップ現代」で米国のメガチャーチがとりあげられていた。
信者2000人以上を集められる教会をそう呼ぶそうだが、米国で最大のレイクウッド・チャーチには
4万人以上の信者がいるらしい。
その建物や礼拝堂(というかステージ)は巨大でモダンな建築物だ。


信者たちは、まるで遊園地に行くみたいな感覚で教会へ出かけていき、牧師の説教を聴いて寄付を
する。みんな楽しそうだが、彼らが政治的な行動をとるようになると、なかなかやっかいなことに
なるみたいだ。


Wikipedia によると、メガチャーチを創設した人々は何人かいるが、創設者が亡くなると組織を維
持できなくなることが多いらしい。
レイクウッド・チャーチはその例外のひとつで、一番偉い(であろう)牧師のジョエル・オスティ
ーンは創設者の二代目である。若くて甘いマスクの、詐欺師のような顔をしている。


彼の説教を聴く人々の様子は、ポピュラー音楽のコンサートと変わらないように見える。
巨大なスクリーンと音響装置は、まさにその手法を利用したものだろう。


こうしたキリスト教保守派は、米国でずいぶん力を持っているらしい。
音楽のジャンルにも、クリスチャン・ロックとかクリスチャン・パンクとかいうのがあるそうだ。
とにかく歌詞にキリスト教を賛美する内容があれば受けるとか。
ラブ&ピースの時代からの反動なのだろうか。 


この変化は米国の映画やテレビドラマにも現れているような気がする。
60年代から00年代には、悩める主人公が行くところは、精神分析医のところだった。
安楽椅子に横たわり医者と話をして、なんとなく治ったような気になる、というのがよくある描写
だ。もちろん、それをコメディにした作品もたくさんある。


例えば、97年から02年に米国で大ヒットしたドラマ「アリーmyラブ」では、変なセラピストがしょ
っちゅう登場し、それが笑いになっていた。
ところが、04年から現在まで放送されている「デスパレートな妻たち」では、セラピストは登場し
ない(少なくとも、私が見たシーズン1の途中までは、離婚相談でセラピストらしき人が現れただ
けだ)。


もちろん、米国のドラマをふたつだけ取り出して比較しても意味はないだろう。
しかし、何らかの変化が米国社会に起きているような勘が働くのだ。


もしかしたら、911のテロ以降、精神分析医に通うよりメガチャーチに行く人の方が多くなったの
かもしれない。
あるいは、金持ちは相変わらず精神分析医に通えるけれど、貧乏人は教会に行くしかないのかも。


日本はかなりアメリカナイズされた国だと思うが、精神分析とか教会はスルーしてきた。
ファッションとか音楽のようなものは気軽に受け入れるけれど、なんか変だぞ、と違和感があるも
のには手を出さないのだ。
このあたりに、歴史のある国の健全性というか保守性を感じる。


たった一冊の本に、世界の全てが収まるはずがないじゃないか、と私などは思うのだが、原理主義
者にとっては冒涜もはなはだしいのだろうな。
だけど、教会がウォルマートみたいになってどうするよ、と皮肉のひとつも言いたくなる。
宗教に限って言えば、米国の方がパラダイス鎖国なんじゃないの? と。


本文と写真はまったく関係ありません

ま、アイドルを応援するのも一種の宗教みたいなもんですけどね(ノ∀`)