王と王子

最近は、女性が若いスポーツマンに「王子」と名付けるのが流行っているみたいだ。
古い話だが、甲子園で「バンビ」と名付けられたアイドル的選手がいたのを思い出す。
当時はストレートにあだ名をつけており、なんとか王子というのはなかったような気がする。


報道を見ると、王子と呼んで騒いでいるのは20代から40代の女性のように思える。
なんていうか、年下の男の子を可愛がるニュアンスが感じられるのだ。
そこには、応援している本人たちは否定するかもしれないが、ある種のエロティックな妄想も
入っているのではないか、と邪推してしまう。


つまり、この手の王子願望というのは、若くてハンサムな男の子を独り占めしたいのではない
か、と。
で、女性がそういう欲望をあからさまにするようになったのは、先に男性が美少女萌えに走っ
たからではなかろうか。


アキバ系のオタクがメディアで取り上げられるのと、ヨン様ブームはパラレルなのではないか
と思って調べてみたら、「冬のソナタ」がNHK総合テレビで再放送されたのが03年12月から、
電車男」の単行本が出版されたのが04年の10月と、韓流ブームの方がちょっと早かった。


とはいえ、ほぼ同じぐらいの時期に、これまで恥ずかしいからあまり表に現さなかった欲望が
大ブレイクしていることを考えると、一種のモラルのタガが外れたような状態が数年前から始
まっているような気がする。


なんでモラルのタガが外れたかといえば、ネット上でいくらでも欲望を爆発させることができ
るようになったため、そのカオスが現実社会に染み出してきているのではないか、と予想する。
妄想するだけなら、悪いことをしているわけじゃないから別にいいけど。


ただ、女性の場合、プロの俳優やアイドルではなく、スポーツ選手に萌えるのがずるいと思う。
たぶん、ほとんどの女性ファンは、野球やゴルフの試合なんかそっちのけで、一人の選手の動
きだけを追っているだろう。
“わたしはスポーツ選手を健全に応援してるの”という言い訳をして、自分の欲望を隠してい
るのはいかがなものか。


もっと堂々とエロ目線を向けてもいいじゃないか、と思うものの、それはそれでオトナとして
どうかな、とも思うし、王子も大変だなぁと。


ところで、王子はやがて王になる存在だが、90年代は「なんとか王」が流行った時代だった。
家電で「画王」というのが大ヒットしたし、マンガでは「遊☆戯☆王」が売れに売れた。
マンガ雑誌コミック電撃大王」がリニューアル創刊されたのは94年のことだ。
(「あずまんが大王」の連載がスタートしたのは99年2月)
あと、「モナ王」っていうアイスが発売されたのが95年ね。


バブル期には父性的な「王」のイメージが支持され、格差拡大期には母性をくすぐる「王子」が
流行するのは、どういうめぐりあわせなんだろうか。
その一方で、「姫」や「王女」があまり流行らないのは、男がそういう呼称をスポーツ選手にし
ないからかも。
女は女に対して、なんとか姫とかなんとか王女なんて言わないだろうし。
そのかわり女は、パリス・ヒルトンみたいなセレブを見て楽しんでいるのかもしれないな。


本文と写真はまったく関係ありません

从´∇`从<熊井ちゃんは私の王子さまなんです! 
川*^∇^)||<?