アルバム

私の世代だと、自分の赤ん坊のときの記録は、まだモノクロ写真だった。
裕福な家庭では 8mm カメラで映像を記録していただろうが、それもモノクロだったのでは
なかろうか。


それが今ではハイビジョンDVDである。
平成以降に生まれた人は、自分の子供のときの様子が動くカラー映像で残されているのだろう。
いや、格差社会なので、一方では美麗な映像で記録されている子が、もう一方では携帯の写真だけ
に記録されている子が同時に存在しているのかも。


ところで、自分の子供時代の記録を見るときって、どんな場合だろうか? 
普通は、どんなに愛されて育てられたかを家族と一緒に再確認するときではないかと思う。
山田太一のドラマ「岸辺のアルバム」ではないけれど、家庭の暖かさを象徴するものとしてアルバ
ムは機能してきたはずだ。


では、現在の家族もそのようにアルバムを見て一家団欒しているのだろうか。
おそらく、そのような家族も少なからずいるだろうが、プリントした写真を貼り付けたアルバム自
体がない家庭もあるのではなかろうか。


というのも、デジタルで記録した画像はメモリーカードかパソコンに保存されており、全ての画像
をプリントアウトはしないと思うのだ。
いちいち紙焼きしない便利さがデジタルの売りでもあるのだし。


また、動画も最初はうれしくてどんどん撮影するだろうけど、子育てをしている最中に、じっくり
編集に時間をかけられるとは思えない。
いろいろ撮りためた素材が、山となって堆積している人が多いような気がする。


こうして、手軽に撮影された素材はたくさんあるけれど、まとまった作品に仕上げられずに、いつ
の間にか時間が過ぎてしまった人々がそこかしこにいると思う。
ようやくまとめたときには、すでに子供が思春期に入っており、女子の場合は自分の子供時代より
もプリクラに夢中、男子の場合はグラビアに夢中、ということになっているかもしれない。


てことは、チャンスは子供が小学校高学年に上がる前の10年間しかない。
一人っ子ならともかく、きょうだいがいたりすると作業はさらに複雑になる。
ここにビジネスチャンスはないだろうか。


つまり、素材を集めて編集しますよ、という商売である。もうやっている人もいるだろう。
画像なら、プリントアウトしてキャプションをつけて一冊のアルバムに、動画なら、字幕・BGM・SE
を入れて一枚のDVDにまとめますよ、と宣伝すれば、けっこう注文があるのではなかろうか。
(万が一、離婚したときのために、すべて2セット作ります、というのはサービスのやりすぎかw)


過去の自分を振り返るときは、ちょっと疲れているときだ。
何もかもうまくいっているときは、古いアルバムを見返したりはしない。
いつでも現在進行形ならば幸せだろうけど、たまには子供のころの自分を見て涙ぐんでしまう夜が
あってもいいのではないか、と。
あまり鮮明すぎても切なくならないから、わざとセピア調に劣化させたりするのもいいかもね。


本文と写真はまったく関係ありません

写真は過去を刻印するものなんですよねぇ‥‥