南水北調

NHKスペシャル激流中国」を見た。
北京では人口増加と生活向上により水の使用量が増えているのだそうだ。
しかし、北京市だけでは水の手当てができないため、近くの省のダムから水を引いて使用している
らしい。


ところが、ダムの近くにある農村では、ダムの水は一切使ってはならず、農民たちは井戸水を汲ん
でしのいでいる。ダムの水は首都に送ると党が決めたからだ。
一方、北京では近代的なライフスタイルが浸透してきたため、水を贅沢に使うようになってきてい
る。これまで不潔とは思わなかったものが不潔に思えてくるのだ。


日本で朝シャンが流行し始めたのは80年代の半ばごろからだろうか。
別に一日ぐらい髪を洗わなくても不潔とは思えないが、潔癖度が一段階上がると、どうしようもな
く気持ち悪くなるみたいだ。
デオドラント用品は資本主義のバロメーターなんだろうな。


贅沢になった市民が水をじゃんじゃん使い始めると、必ず水不足になる。
北京市当局がいくら節水を呼びかけても焼け石に水のようだ。
おまけに北京では、路上で洗車する商売があるらしい。公園などの蛇口からバケツ二杯ぐらいの水
を盗んで、一回80円ぐらいでクルマを洗うという。


これを取り締まらなければならないほど水事情は逼迫しているのだろうか、と思うが、当局は大真
面目である。捕まった中国人は、運が悪かったぐらいにしか思わないだろうけど。
ただ、都市の人間は農村の人間がどんな生活をしているか、という想像力を最初から持っていない
のだろう。もう一度、文化大革命下放をやればいいのに。


それはさておき、このままではいずれ首都の水が足りなくなる、ということで、水が豊富な南部か
ら北部へ運河を掘って供給しよう、という大プロジェクトが進んでいるらしい。
これを「南水北調」と呼ぶそうな。
1300kmもの運河を作るんだから、日本の商社もそのビジネスに食い込んでるんだろうけど、番組で
は一切そういう話はなかった。


そんな大工事をするより、北京の近くに海水の淡水化プラントを作った方が安上がりなのではなか
ろうかと思うのだが、コスト的には運河とどちらが得なんだろう。
むしろコストがかかる方が土建屋にはうれしいだろうけど。


あと、ヨウ化銀をミサイルで打ち上げて雨量を増やすシステムが、中国ではすでに実用化している
のには驚いた。雨雲がないと意味がないのだが、実際に雨が2割増しぐらいになるらしい。
(打ち上げたミサイルって、どこに落下するのか疑問だけど)


たしかカート・ヴォネガットのお兄さんがヨウ化銀の降雨システムを研究してたはずで、とっくに
実用化されていたとは知らなかった。日本では飛行機からばら撒いたりしないのだろうか。


中国だけではなく、米国もロシアもこれから水不足には悩まされるはずだ。
日本はまだ水資源が豊かだから危機感がないのかもしれないが、四国や九州では渇水地域がときど
き発生している。


水の豊かな地域から渇水地域へ、大量にしかも低コストで運搬するシステムを検討してもいいので
はないかと思う。
これは自治体の体力を超えているので、国がやってもらいたい。


前に、タンカーが巨大な浮き袋に水をつめて曳航する実験をしていた記事を読んだことがあるが、
袋の一部が破れて失敗していた。
でも、アイデアは悪くないと思う。
安定的な運搬方法ができたら、水を輸出できるかもしれないし。
そうしたら、雪国の雪も資源になるというものだ。


本文と写真はまったく関係ありません

( ・e・)<水道の蛇口は開けたら閉める! 分かった、カメ?
从*^ー^)<分かりました! 締まりの悪い女は嫌われますからね
(#・e・)<コラー!