五右衛門風呂

私が小学2年生から3年生まで住んでいた家は五右衛門風呂だった。
ご存じない方のために説明すると、五右衛門風呂というのは盗賊 石川五右衛門が釜茹での刑で
殺されたことに由来する、おおきな釜状の風呂のことである。
たしか、映画「となりのトトロ」でサツキとメイの家の風呂がそうだったと思う。


鉄でできている釜を、直接火を焚いて沸かすので、底の部分が最も熱せられる。
(側面はそれほど熱くなく、背中がついてもヤケドなんかはしないけど)
そんなところへどうやって入るのかというと、丸い板の上に乗って身体を沈めるのだ。


私の記憶では、板が浮き上がらないように引っ掛けておくストッパーのようなものが釜の内側に
あったような気もするのだが、それだと構造上おかしいことになるので、たぶん記憶違いだろう。
ともかく、子供は体重があまりないから、板を沈めるだけでも一苦労だったのは確かだ。


その五右衛門風呂を焚く燃料にオガライトというものがあった。
おがくずを高圧で固めた棒状の燃料で、今もあるのかとググッてみたらアウトドア用品として立
派に売られている。ちょっとうれしかった。

15kgで780円は安いのか高いのか、よく分からない。


当時、私が住んでいた家では、オガライトは台所の床下に貯蔵されていた。
燃やすものなので、なるべく乾燥した場所に置いておかなければならないのだ。
風呂を沸かすには数本使うだけでよかったから、その都度取り出して使っていた。


ある日、どういうわけかオガライトをしまってある床下のフタが開いていた。
今では何がどうなっていたのか分からないが、私はそのオガライトの上にバケツの水をひっくり
返してしまったのだ。


こっぴどく怒られて、ブカブカになったオガライトを外に出して乾燥させたのを憶えている。
その後、濡れたオガライトを焚きつけに使ったかどうかは憶えてない。


その後、とんと五右衛門風呂に入る機会はなかったが、どこかの旅館にでもあればまた入ってみ
たいものだ。
たぶん、底板に乗っても、あの時のようにぐらぐらすることはないと思う。


本文と写真はまったく関係ありません

( ^▽^)<五右衛門風呂はねぇ、こーやってゆっくり入るの