- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1999/08
- メディア: 文庫
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オウム真理教って何だったのか、ということを書いた本だが、いちおう日本人と宗教の
関係を書いたものでもある。
(どうでもいいが、この文庫本の装丁イラストは正直どうかと思う)
実は、私は95年の地下鉄サリン事件が発生した日の午前10時半ごろ、霞ヶ関の通産省(当
時)にいた。
資料をもらって会社のある神田に戻ろうとしたら、地下鉄の入り口が全て進入禁止になっ
ている。
何かあったのかと思って丸の内線の出入り口を見たら、消防車両がたくさん止まっており、
オレンジ色の宇宙服みたいなの(化学防護服?)を着た人が上がってきていた。
事件は午前8時ごろ発生したが、まだサリンを散布したということが分からず、地下鉄は動
いていた。しかし霞ヶ関駅には止まらなかったので、私は二重橋駅で降りて歩いたと思う。
何も知らなかったので、人身事故でも起きたのかな、と思った。
霞ヶ関からどうやって会社に帰ったかは、よく憶えていない。
たぶん、歩いて有楽町まで行き、JRで神田駅に行ったんだと思う。
会社に戻ってみると、大事件が発生していると大騒ぎになっており、まだ戻ってきていない
人の安否が心配されていた。当時は携帯電話が普及し始めたぐらいで、まだ全員が持ってい
たわけではなかった。
その後、オウム真理教の幹部たちは逮捕され、麻原彰晃も死刑判決を受けた。
まだオウム真理教がそんなに危険視されていない頃、衆議院選挙に立候補して、西荻の駅前
で気持ち悪いお面をかぶって変な歌を唄っているのを見ていたが、まさかそいつらの教祖が
10年後に拘置所でウンコまみれになっているなんて、誰が想像できただろう?
私がオウム真理教と何らかの接点があったのはそれだけで、やっぱ宗教は怖いなぁ、と片付
けて日常に戻っていった。
本気でオウム事件の全貌を調べようと思っても、私の能力では追いつかないだろうし。
オウムを総括した本はたくさん出ていると思うが、本質を突いているのは、事件直後に出版
された本書なのではないだろうか。
宗教は -ism である、という解説や、仏教とキリスト教の違いを説明している部分は切れ味
鋭く面白かった。
(最後の「利己的遺伝子」のあたりはヨレているけど)
結局、いつも橋本治が言っている「自分のことは自分で考えなきゃ幸せにはなれないよ」と
いうメッセージであり、それができたら宗教なんか必要ないのである。
自分のことを考えるのはどうやったらいいの? という問いに対しては、それこそ自分で考
えな、と言うしかないのだが。