商売において人からお金を得るとき、ふつうは何かと交換する。
その何かが、お金を出す人にとっていいものであれば、喜んで差し出すだろう。
生命保険はどうだろうか。
私は加入してないので分からないのだが、妻子がある人にとっては安心を買っているようなもの
なのかもしれない。
安心を買うということは、逆に言えば、人の不安が飯の種ということでもある。
だから保険会社は広告を使って、病気になったり死んだりしたら困りますよ、と脅す。
なんでこういう商売が成り立つかといえば、みんな病気や死が怖いからだ。
保険を設計する場合、当たり前だが、保険会社が絶対に儲かるように作る。
それは商売だからしょうがない。
不払いがバレて頭を下げていたが、心の中では舌を出していただろう。
保険会社に就職しようとする人は、もともと抜け目のない怜悧な学生なのだから、バカが騙され
ても何の感情も湧かないはずだ。
前から不思議に思っていたのだが、凄惨な保険金殺人が何件も発生しているのに、誰も生命保険
を悪く言わない。
拳銃で殺人が行われると、銃の野放しはいかん、という話になるのに。
オトナの答としては、クルマとか携帯と同じように、ときどき犯罪に使われるかもしれないが、
もはや社会がそれなしでは機能しないのだから、多少のリスクには目をつぶって、得られる利益
を考えようよ、ということだろう。
だったら米国産の牛肉をさっさと通常輸入したらいいのに、狂牛病のリスクは過大にカウントす
るのはなぜだろう。毎日クルマで何人も死んでるんだけどな。
変な病気で死ぬのは納得いかないが、交通事故で死ぬのは納得できるんだろうか?
生命保険だって、怪しい人が掛け金を払っているのを知ってても、見て見ぬふりをしているんじ
ゃないか、と邪推してしまう。
所得に対して明らかに高すぎる設定の保険を売ることに、何のためらいもないくらい外交員は追
い詰められているのかもしれない。
保険金殺人を防止するようなシステムを、業界団体が研究しているのかもしれないが、私が知ら
ないということは、ほとんどの人が知らないということだろう。
保険会社にしたら、不正に支払われた金が戻りさえすれば、人が殺されようがケガしようが関係
ないのかもしれない。
しかし、保険会社が儲かるっていうのは、なんかおかしくないか、とも思うのである。
収支トントンだったら納得するのだが‥‥