プロポーズ大作戦

一見どうしようもないドラマに見えて、よく見るとやっぱりどうしようもないドラマである。
今期のフジテレビのドラマは不作だなぁ。


私はこのドラマの何が気に食わないのか? 
長澤まさみの役が野球部のマネージャーでマンネリだ
山下智久がどう見ても野球部員に見えない(佐藤隆太ならリアリティがあってよかった)
濱田岳がウザい
藤木直人はいい奴そうなので、視聴者は結婚に反対する理由を見出せない
・タイムスリップが安易すぎる


ざっとこんなところだろうか。
キャスティング先行で、企画や脚本がその後だったとしても、もう少し違う角度で作れないか
と思う。


ただ、三上博史が登場したのは面白かった。
かつて月9ドラマで主役を演じ一世を風靡した役者が、若者のドラマの狂言回しに配役されて
いる。


東浩紀の「ゲーム的リアリズムの誕生」風に考えるなら、このドラマは山下智久がプレイヤー
になって、人生のワンシーンをやり直すゲームであるといえる。
それをコントロールするのが三上博史で、三上から見れば山下智久はゲーム内のキャラクター
にすぎない。


おそらく、これから山下智久は何度も写真に撮影された過去の一点にタイムスリップして人生
をやり直そうとし、必ず失敗するだろう。
そのたびに結婚式の披露宴の場面にリセットされ、少しだけ違った現在を見ることになる。


視聴者の興味は、このループを繰り返して、果たして彼は長澤まさみと結婚できるのだろうか、
という表面的な部分に注がれるだろう。
しかし、このようなゲーム的構造になっていることに気がついて、本当に山下智久と長澤まさ
みが結婚することは幸せなことなんだろうか、と思う人もいると思う。
(もし山下智久が過去を修正し、長澤まさみと結婚してめでたしめでたし、というラストだと
したら安易すぎると思うが、視聴者のリテラシーを考えると否定できない)


このドラマをそこまで深読みすることに意味があるとは思えないし、制作側もそんな意図はな
いだろう。
ただ、東浩紀が指摘するように、ライトノベル美少女ゲームの物語構造が、時代の最先端を
走っているとすれば、テレビドラマにだってその影響は現れてもいいはずだ。


なので、そろそろ「メタ月9ドラマ」を見てみたい気もする。
例えば「プロポーズ大作戦」だと、毎回過去に戻るわけだが、その過去がいちいち月9ドラマ
のありがちなシーンで構成されていたら面白いかも、と思うわけです。
ま、そういうのはかつて月9ドラマに夢中になっていたオッサンおばさんしか喜ばないだろう
けど。


本文と写真はまったく関係ありません

从´∇`从<あたし、このときゼッタイ熊井ちゃんと結婚するって決めたんです(徳永千奈美 談)