ブラッド・ダイヤモンド

ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray]

ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray]

長い。
ぐったりするほど長い映画だった。
シエラレオネの内戦とダイヤモンドの関係を描いた作品で、状況を説明するのに時間がかかる
のは分かるのだが、娯楽映画としてはかなり退屈だ。
恋愛ものとしても、バディムービーとしても、社会派映画としても消化不良だった。
レオ様目当てに見に行ったとしても、難しくてよく分からないだろうと思う。


映画では、デビアス社と思しき会社が悪役として描かれている。
本来は輸出を禁止されているシエラレオネ産のダイヤモンドを、隣国のリベリアまで密輸し、
通関証明を偽造して買い取る。
反政府集団は、ダイヤモンドを売った金で武器を輸入し、村々を襲って少年を拉致し軍事訓練
を施し少年兵にする。
こうして内戦は長引き、シエラレオネの人々は難民と化し、デビアス社は儲かるというわけだ。


ちなみに「ブラッド・ダイヤモンド」でググると、DIAMONDFACTS.ORG というサイトがトップ
だった(今は違うようだ)。
このサイトは、現在流通しているダイヤモンドの99%はまともな国から産出されたものである
ということ、ダイヤモンド産業がアフリカ人の生活を向上させていることなどを宣伝している。
おそらくデビアス社が、映画を見た人のイメージダウンを恐れて作ったのではなかろうか。


ダイヤモンドはベルギーのユダヤ人を中心に取引されており、その内情はほとんど知られてい
ない。
売買は小さな宝石をやりとりするだけなので、ホテルのロビーだろうと小さな事務所だろうと、
どんな場所でもできる。
「マザール」というのが商談成立の合言葉で、この言葉を交わしたからには、絶対に契約を守
らねばならない。裏切り者は二度とダイヤモンドで商売ができなくなる。


これは孫引きだが、庶民がダイヤモンドを求めるようになったのは、比較的最近らしい。
ハリウッド映画で、ダイヤモンドは永遠の価値があるもの、というイメージを大衆に刷り込ま
せ、婚約指輪は給料の二か月分(日本では三か月分)というコピーで、庶民の欲望を刺激した
のだそうだ。


だから、大衆がそれほどダイヤモンドを欲しがらなければ、デビアス社としては大いに困るわ
けである。
血塗られたダイヤモンド、なんていうイメージがついた映画は、できれば企画の段階で潰して
しまいたかったに違いない。


ダイヤモンドは無色透明なものが最も価値が高いとされるが、ピンクやグリーンなどの色がつ
いたものは珍重され高値がつく。黄色いものは安いらしい。
映画では、およそ500カラットの巨大なピンクダイヤモンドの原石をめぐって物語が進む。
人が虫のように殺されていく。


昨日見た「ダーウィンの悪夢」もそうなのだが、人間は教育しないと欲望をむき出しにしたバ
カにしかならないのだろうか、と思う。
ブラッド・ダイヤモンド」での反政府勢力は、誇張されて描かれているとは思うが、マシン
ガンを持ったDQNである。
彼らは民族のためという名目で、殺人・強姦を楽しんでいるように見える。
国民の半分以上がDQNになるということは、ほとんど悪夢だ。


なぜアフリカ人はバカなままなのか。
先進国が何十年も援助しているにも関わらず、豊かにならないのはなぜか。


欧米の武器商人や資源会社に搾取されているから、という答えは半分正しいだろう。
だが、残りの半分はアフリカ人自身にあるのではないだろうか。



ハリウッドは、常に悪役を欲している。
ナチスドイツやソビエト連邦イスラム圏のテロリストなどなど、白人スターが戦う相手は時代
によって移り変わってきた。
一時期、竜巻やら隕石やらの自然現象を相手にする映画が流行ったが、これからはアフリカに目
を向けるのかもしれない。


私は安全な場所で、リアルな地獄をぼんやりと見るだけである。


本文と写真はまったく関係ありません

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