- 作者: 速水健朗
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2007/01
- メディア: 新書
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面白かった。
ただ、最後に参考文献の一覧表が欲しかったかな。
この本によると、なんだか日本の歌謡曲は電通が仕切っているようにも思えるが、その
あたりの事情はもっと複雑なのだろう。
《第七章 イメージソングと『ザ・ベストテン』の八〇年代》という章からは、私にとって
もリアルタイムなので、記載されているCM曲を見るとすぐにメロディが頭に浮かぶ。
それほど刷り込まれているということだろう。
そういえば、今と違って80年代の化粧品のCMにはアイドルの曲が多く使われていたっけ。
2000年以降だと、松浦亜弥がシャンプーのCMで「桃色の片思い」とか「ね〜え」なんかを
唄っていたはずだが、それ以外はあまり記憶にない。
《第八章 TVドラマとタイアップソングの時代》も、ぐいぐい読めた。
当時はドラマの主題歌が100万枚から200万枚も売れていたのだ。信じられない現象である。
主なタイアップ曲が記載されているのだが、正直サビのメロディは浮かんでも、ドラマの内容
はちっとも思い出せなかった。
盛り上がる場面で、必ずタイアップ曲が流れていたなぁ、という印象しかない。
(今日、終了したドラマでもタイアップ曲(?)がかかっていたが、シングルで出ているのだろ
うか?)
いまやドラマはおろか、アニメの主題歌もタイアップソングになってしまった。
私のようなオッサン世代は、「ゲッターロボ」の主題歌なんか最高に格好いいのだが、今だと
ダサく聴こえるのかもしれない。
この本では《第十一章 ポスト・タイアップ時代》で、CDの売れ行きが低迷している原因を
携帯電話の普及で、そちらにお金をまわされたこと、違法コピーの急増、少子化などに求めて
いる。
その他の要因としては、従来のタイアップ商法が飽きられてきたからではないか、ともある。
だが
いま、マス・マーケティングに代わって注目されているのは、顧客とのコミュニケーション
を重視した関係性マーケティングだ。音楽産業に当てはめて考えれば、ファンとのコミュニケ
ーションを重視したジャニーズ事務所の戦略はまさにこの関係性マーケティングの手法といえ
る。2006年の唯一のミリオンセラーシングルとなった『Real Face』を歌ったジャニーズ事務
所のアーティストKAT−TUNは、デビュー前にすでに100を超える公演を行っている。こ
のファンとのコミュニケーション重視の戦略がCDの売り上げにつながったのである。
とあるのは、私としては納得できない。
なぜなら、モーニング娘。だって同様にコンサートを行っており、ファンとのコミュニケー
ションを重視しているが、ミリオンセラーにはほど遠い。
CDを買うのはそのファンだけだからだ。
大ヒットするためには、コアなファン以外の人がCDを買う必要があり、KAT−TUNの場合
は、焦らしに焦らしてからシングルを出したため、ファン以外の人も興味を持っただけのこと
だ。その証拠に、それ以降の彼らのシングルはミリオンセラーになってはいないはずだ。
また
宇多田の少し後にシーンに躍り出てきた浜崎あゆみの場合も、一度グラビアアイドルを引退し
たところをプロデューサーのMAX松浦に拾われて歌手として再起するという、目を引く“プロ
フィール”を持っていた。浜崎あゆみもまた“華麗なプロフィール系”なのだ
という部分もどうだろうか。
重箱の隅を突くようで申し訳ないが、浜崎あゆみがブレイクしたのは、女子高生に歌詞が受け
たからであり、別に彼女の過去のプロフィールがあったからではない。
宇多田ヒカルとは違うのである。
現在、確かにシングルCDの売り上げは低迷しているが、携帯ツールへのダウンロードは増え
ている、と本書にはある。なるほど。
おそらく、チャートを作る指標が入れ替わる過渡期なのだろう。
日経平均を出す指標も時代ごとに入れ替えるように、音楽の売り上げチャートもダウンロード
数を加えるべきだと思う。
こんどモーニング娘。に中国人が2人加入するが、これは北京オリンピックでのタイアップを
取るための布石だろうか?
どうもテレビ局つながりの音楽出版社が握っている利権は、つつけば膿がドロドロ出てきそう
で怖い。
本文と写真はまったく関係ありません
( ´ Д `)<ラブマの原盤権は吉本音楽出版が持っているぽ