料亭考

よく映画やテレビドラマなどで、政治家や財界人が料亭で密談をしている場面が描かれるが、私には
一生縁がないだろうから、ああいう場所がこの世のどこかにあるんだろうな、という意識しかなかっ
た。
しかも、私は生の魚介類が嫌いというバカ舌を持っているため、たとえ料亭に行ったところで全く楽
しくなかろうし、料亭の人に対して失礼だ。


ところが、今日ドラマ「拝啓、父上様」」を見ていたら、料亭の客層が変わり、質が落ちたという話
だったので、そういうものかと思ってググってみた。
私ですら名前を知っている有名な料亭には

料亭とは...
玄関の花一輪、屏風、
控えの間に通ったときに聞くひそやかなお香。
たばこ盆とお茶にて友を待ち、
本席に至りては時季の料理と芸妓の舞。
その傍らの床の間にてひっそりと覗く軸と花。
日本人が創り出した当たり前の空間と演出。
そんな場所が料亭です。

とある。
何やら敷居が高そうだ。


料亭はこれまで接待のために、政治家・官僚・大企業によって利用されてきたのだろう。
若いうちから上司や親分に付き添って料亭に出入りしているうちに、自然と作法や遊び方を覚えたと
思う。ある意味、ちゃんとした教育システムが機能していたわけだ。


どういうわけか、そのシステムは断絶しつつある。
接待や密談の習慣が悪いことだとされるようになったとか、単純にそういう費用をかけてまで接待す
るようなことがなくなったとか、理由はいろいろあるだろう。
(そもそも、今までどういう名目で料亭の費用を落とし、監査していたのか?)


あるいは、教養の喪失が挙げられるのかもしれない。
芸伎を呼んで清元や常磐津をうなられても、たぶん団塊の世代以降で楽しめる人はそう居るまい。
そんなんだったら六本木のキャバクラに行くべぇ、という成金の方が多いのではないか。


私なんかは貧乏なので、酒を飲むんだったら居酒屋で十分だし、ちょっと高いところでも料亭ほど値
の張らない店で満足できる。
もし大金持ちで和食が大好きだとしても、仕事以外で利用することはないだろう。


よくコントなんかで、料亭の奥の襖をがらっと開けると、枕をふたつ並べた布団が敷いてある、とい
うシーンが出てくるが、いまの料亭にも本当にああいうのがあるのだろうか? 
宴席から性交へなだれ込むのは、江戸時代の吉原などからの伝統なのかもしれないが、私にはそうい
う図太さはない。


官官接待で明らかになった「ノーパンしゃぶしゃぶ」という店の存在もそうだが、食欲は食欲、性欲
は性欲とキッチリ分けてもらいたいのだ。
ひとつのことに集中したいのは私だけだろうか? 


ただ、格差が広がりリッチな層が固定されると、再び料亭文化も復権するかもしれない。
利用する客が、もう一度料亭での振る舞いを学習するところから始めなければならないので、ひと世
代ぐらいかかるかもしれないけど。


海外では、こういうハイエンドな接待をする店が繁盛しているのだろうか? 
フランスとか香港のような美食の国(地域)は想像がつくけど、米国や英国はどうなんだろう。
あ、パーティーというのはそのためにあるのか。自問自答。


本文と写真はまったく関係ありません

そりゃ、こういう「ハロプロ茶屋」があったら行ってみたいと思うけどさ