破壊する快感

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 [DVD]

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 [DVD]

夜中にテレビで「ガメラ3」やっていたのを何となく見ていた。
私は前田愛に夢中になっていた時期があり、この作品が彼女のピークだと思うが、いま見ても
素晴らしい。
その後、前田愛はカナダ留学・青山学院大学に進学と、最近のハロプロ勢の先駆者のような
感じで芸能界から半ば引退してしまった。ときどき映画に出ているみたいだけど。


それはともかく、他の出演者にも今なら絶対にやらないだろうなぁ、という役で出ている人が
いた。
仲間由紀恵がまったく意味なく怪獣に殺されたり、上川隆也自衛官だったり、後に大河ドラマ
で夫婦を演じるとは、誰も想像できなかっただろう。


映画は樋口真嗣の特撮がメインなので、ひたすら渋谷や京都がぶっ壊れていく様を楽しめた。
で、我々はなぜ自分の知っている街が破壊されるのが楽しいのだろうか、と思ったが、これは
多くの特撮ファンの方がすでに語りつくしているだろう。


私も、自分以外のすべてがメチャクチャになることの快感は幼児の根源的な欲望なのだ、とか
死の衝動を外部に転移して生を確認したい、などと恥ずかしい言葉で語りたいのだが、オッサン
になったのでやめておく。


それでも、なんか違うなーと思うのは、ハリウッド映画と邦画の破壊の質である。
米国でも日本でも、有名な建物の模型を作って、見事にぶっ壊しているのは同じなのだが、壊す
主体が違う。
ハリウッドは「GODZILLA」などの例外を除けば、宇宙人とか、隕石や津波地震のような天災が
多い。一方、日本は圧倒的に怪獣がメインではなかろうか。


これは私の偏った見方かもしれないが、ハリウッド映画の破壊は、わりと一瞬で壊れるような
気がする。何かでガッと破壊されておしまい、というイメージだ。
ところが、邦画の特撮では、じわりじわりと壊されていき、あたかも壊れるプロセスを大事に
している感じがする。


この理由としては、キリスト教的な終末感と日本の終末感の違いかもしれないし、一度も本土を
攻撃されたことのない国と、徹底的に空襲を受けた国の違いに求められるのかもしれない。
(ただ、戦争の描写については、米国にはスピルバーグという天才がいるので、表現のレベルに
雲泥の差がついてしまったけれど)


その一方で、これは直接は関係ないのかもしれないが、ハリウッド映画はカーチェイスが好き
で、クルマがぶっ壊れるシーンをあきれるほど描いている。
私はカーチェイスの何が面白いのかさっぱり分からないので、なるべくそういう映画は見ない
し、派手にクルマが破壊された場面があったとしてもアクビしか出ない。


しかし、日常的にクルマを運転する人にとっては、カーチェイスの場面ほど面白いものはない
のかもしれぬ。自分の身体感覚が刺激されるからだろうか? 
米国だけではなく、フランスでも「TAXI」という映画が大ヒットしているし、ジャッキー・
チェンの映画にも必ずといっていいほどカーチェイスがあるから、たぶん普遍的な快感なの
だろう。


邦画でカーチェイスってあったっけ? と思い出してみるに、そもそも興味がないから記憶に
残るわけがないのだった。
ひとつ出てきたのは、宮崎駿監督の「カリオストロの城」の冒頭である。
あのカーチェイスは私にも面白いと思えた。


クルマが女の象徴だとしたら、それを自由自在に操って快感を引き出すというテクニックを
持っている男、すなわちセックスを楽しんでいる男たちは、総じてカーチェイスを見ると
興奮するのかもしれない。
だったら、私が興奮しない理由も分かるな。


本文と写真はまったく関係ありません

从*^ー^)<ガメラは出ませんが、亀は出ますよ?