ヒゲ考

ヒゲというのは、現生人類が誕生してからずっとあるものだが、一体いつごろから剃り始めた
のかは謎だ。銅器が発明された紀元前3000年ごろには、すでにカミソリで剃っていたという
説もある。


そもそも、ケモノと違って人間の顔が毛で覆われていないのは、表情を見せて他の人との意思
疎通を豊かにするためだったはずだ。
しかるに、男の場合、濃い人だと顔の下半分がヒゲで覆われてしまい、表情がよく分からなく
なる。
これは明らかにデメリットなので、せっせとヒゲを剃る文化が生まれたのではあるまいか。


一方で、イスラム圏やシーク教徒のように、基本的にヒゲを剃らない文化もある。
男らしさを誇示するため、あるいは神から与えられたものに手を加えてはならない、という
理由だそうだ。


私は一度ヒゲを伸ばしてみたことがある。
きっかけは、最初に就職した編集プロダクションが激務で、ヒゲを剃る暇もなかったので
不精ヒゲが伸びてしまい、どうせならこのまま放置してしまおう、と思ったのである。


しかし、いま思うと、職場でどんどんヒゲを伸ばしている奴というのは、かなり無神経だ。
普通、イメージチェンジのためなら、全く知らない人がいる環境で、あらかじめヒゲを
生やして現れるものだろう。
当時の周りの人々は、かなり生温かい視線で私を見ていたはずだ。恥ずかしい。


で、伸ばしてみて初めて気がついたのだが、私はヒゲがまばらにしか生えないのである。
もっと密度が高いかと思っていたが、伸ばしても伸ばしても、トウモロコシのヒゲみたい
にしかならない。


Wikipedia の「髭」の項によると、新モンゴロイドは寒冷地にいたので、ヒゲが生えて
いると凍傷になりやすかったため、薄くなっているとのこと。
なるほど、私のヒゲは寒冷地仕様だったのか。


結局、このなまずヒゲをいつ剃るか、というのが問題だったのだが、夏になって鬱陶しく
なったので、ゾリッとやった。清々しかった。
それ以降、ヒゲを伸ばしたことはない。


思うに、一部分にヒゲを生やしている人は、自意識過剰な性格なのではなかろうか。
つまり、他の部分は剃っているのに、ある部分だけは伸ばしているというのは、よほど
顔に注目してほしいに違いない。
ある意味、エキセントリックな性格かもしれない。ヒトラーとか。


その反対に、非常に繊細な心を持っているので、顔をガードしたいために伸ばしている人も
いるだろう。
もみ上げから鼻の下、アゴに至るまで、びっしりと伸ばしている場合は、そうなのかな、と
思う。例えば、スピルバーグとかルーカスとか。


そういう自己主張あるいは自己防衛の記号としてヒゲが使われているとしたら、いっそ
付けヒゲがブームになってもいいんじゃないかと思う。
女はエクステンションをつけて髪型を変えて楽しんでいるのだから、男もいろんなヒゲを
つけかえて気分を変えればよろしい。


それを、ふざけていると見る人は、今日と同じ明日が来ると信じているだけではなか
ろうか? 


前に浜崎あゆみが缶コーヒーの宣伝で、ヒゲをつけていたことがあったが、あれはなかなか
良かったと思う。なので、女子もつけヒゲをしてほしいものだ。
ヒゲ萌え。


本文と写真はあまり関係ありません

( ^▽^)<落書きかよ!