昔は教師が尊敬されていたが、今はそうでもない。
というのも、高度成長期が終わるぐらいまでは、学校の教師は師範学校や大学を出ていた
いわばインテリと目されていたのに対し、親は大卒の人が少なかったからである。
そうすると、親は自然と「先生とは偉いものだ」ということを子供に向かって言うので、
子供も「そんなものかな」と思って接するために、学級の秩序というのは基本的に保たれ
ていた。
ところが、親の大学進学率が上がるにつれ、教師というのはだいたいこんな成績の奴らが
なるものか、というのが分かってしまい、盲従することはなくなった。
下手したら自分より頭が悪いのではないか、と思う親だって出現したかもしれない。
そういうことは、子供は実に敏感に察知するので、学校の先生なんて大したことがない、
と思い、友だち感覚で接するようになる。教師もこれに迎合していると、学級の秩序は
乱れてしまうことになる。
では、どうすればいいか。
私は教員免許で必要な履修科目に、柔道・剣道・合気道などの格闘技を入れ、少なくとも
初段をとらないと教員になれないようにするべきだと思う。
(たしか警察官は研修で何らかの格闘技の段を取らされると聞いたことがある)
格闘家の角田信朗は、積み重ねた瓦を寸勁(?)で割ることができるが、これを中学校の講演
に行ったときに最初にカマしておくと、後は素直に話を聞いてくれるらしい。
いわば、芸人でいうツカミのための一発芸である。
もはや教師に対する自然なリスペクトを望むべくもない現在、何らかの形で親と子供に
力を見せつけないとやっていけないのではなかろうか?
もちろん、武術を習うことは体罰を容認することではない。むしろ逆である。
本来の武術とは、なるべく自分の力を使わないようにするためのものである。
いざというときは怖いよ、ということさえ分かってもらえれば、誰も無用の戦いを挑まなく
なるであろう。
(生徒に大怪我をさせるような教師は、しかるべき処分を下されるべきだが)
不幸にして格闘技を習得できない人は、残念ながら教員になることはできない。
それは、警官になれないのと同じことである。
教師というのは、そういう職業だという世間の合意さえできれば、この提案は受け入れられる
と思うのだが‥‥