アド・マンガ

テレビドラマや映画では、スポンサーの商品をさりげなく役者に使わせて、広告している
場合がある。


古い話で恐縮だが、米国のテレビドラマ「ER」で、なぜか病院のパソコンがゲートウェイ
だったのを憶えている。
NHKで放送されていたので、なんでゲートウェイ? と疑問に思っていたのだが、米国
ではスポンサーだったのですね。


日本では、あまり露骨にそういう使い方をしないけれど、格好いい役者が着ている服などの
問い合わせはたくさんあるだろうし、腕時計や靴なんかも視聴者の興味をかきたてるはずだ。


前に感想を書いた、内田樹の「子どもは判ってくれない」という文庫本の中に、「教養喪失と
江口寿史現象」という一文があった。

 江口寿史が二十年ほど前に『少年ジャンプ』に出現したときの衝撃を私は今でもはっきりと
記憶している。
 それは『すすめ!!パイレーツ』の登場人物が「ダウンジャケット」を着ていたからである。
 漫画の登場人物が「そのシーズンに流行した服」を着て出て来たのは、日本漫画史上で江口
寿史をもって嚆矢とする(たぶん)。

たとえば、「ドラえもん」の登場人物の服は、永遠に変わらない、時代を超越したものである。
江口寿史は、そういうマンガの不文律を破って、分からない人には分からないが、分かる人には
分かるようなファッションをマンガに取り入れた、というわけだ。


内田樹の話は、教養がいかに喪失されていったか、という展開になるので、面白いから是非読んで
いただきたいのだが、私はここを読んだときに、別のマンガを思い出した。
江川達也の「BE FREE !」である。


この作品の中で、江川達也は市販のお菓子をすごくリアルに描いている。
私が覚えているのは、S&B の8分の5チップというやつだ(今も売っているだろうか?)。
なんでこんな小道具をそっくりに描くんだろう? と驚いた。
たぶん、こういうことをしたのは、江川達也が日本で最初ではないかと思うのだが。


で、思いついたのは、テレビドラマや映画で商品のさりげない広告ができるんだったら、
マンガでもやっていいじゃないか、ということだ。


今までも広告マンガ・広報マンガというのはあったが、いかにも三流の仕事だった。
そうではなく、人気のある作家が、物語の中にトップブランドの商品を描くのである。
たとえば、「ゴルゴ13」や「島耕作」で高級腕時計や高級車を登場させるなど、大人向けで
安定した人気のある作品で、分かる人には分かるようにさらっと。


もちろん、自分の作品にそんなものを入れたくない、という作家もたくさんいるだろうから、
あくまで協力してもらえる人限定だが、大御所のマンガ家は、案外簡単にOKしてくれるの
ではなかろうか。


ただし、ドラマ「GIFT」におけるバタフライナイフのように、負の作用をもたらす効果も
あるわけなので、スポンサーはマンガの内容に口出しをするかもしれない。
作品の自由を奪われる代わりに、広告料を欲しがる作家がどのくらいいるのか、考えて
みるとちょっと疑問だなぁ。


マンガは、映画やテレビドラマと比べると、お金がかからないから、広告から自由だったの
かもしれないな。


本文と写真はまったく関係ありません

リd*^ー^)<広告には世界一うるさいランドですよ?