もやしもん

もやしもん(3) (イブニングKC)

もやしもん(3) (イブニングKC)

私の情報偏差値は50だと自覚している。
私が知っていることは、ほとんどの人が知っているということだ。


というわけで「もやしもん」である。
いろんなところで絶賛されていたので読んでみた。
面白かった。
おしまい。


というわけにもいかんので、何かひねり出してみよう。


このマンガって、どこかでよく似た構造のものを読んだことがあるなぁ、と思った
のだが、学研のひみつシリーズだと分かってスッキリした。
さしずめ「発酵のひみつ」アダルト版というやつだろうか。


何がアダルトかというと、女の描き方である。
登場する女のキャラは全員目つきが鋭く、決して「キャハッ♡」とか「やだぁ」
などと言わない。非萌え系だ。


なんというか、農大生たちの女に対する諦めと羨望が交じり合ったスタンスが
マンガからじわりと醸し出されているのだ。
現実には、さっさとカップルになる一部の人たちと、実験や、広い意味でのオタク
活動に勤しむ、女っ気がない生活を送る多くの人たちがいるのだろう。


主人公たちが、決して恋愛活動を起こさないのは、マンガの焦点がボケるためでも
あるが、女キャラが男を必要としていないからでもある。
私は、そのあたりに作者のトラウマを見るのだが。 


それと、単行本を読んでいると、欄外の人物紹介やアオリがそのまま残っている
のに気づく。
これらは担当編集者が雑誌に掲載するときに作るもので、単行本にするときは
原稿から剥がすのだが、このマンガではそのままにしてある(と思う。雑誌掲載時の
ものは読んでないので)。


マンガ家と担当編集者のノリが良いと、時々こういう面白い遊びができる。
私は、そういうのが大好きだ。
古くは吉田戦車の「伝染るんです」の単行本とか。
「魁!クロマティ高校」の単行本なんかもよかった。


あと、私は樹教授の元ネタは、小泉武夫ではないかと思っているのだが、どう
だろうか? 
特に「奇食珍食 (中公文庫)」には、第一話で出て来たキビャックも登場する。
(なお、96pに×カパピラ→○カピバラの誤植がある)
発酵や食品に関するウンチクが満載なので、「もやしもん」が好きな方は是非。


蛇足だが、4月28日大阪オンエアの「探偵!ナイトスクープ」で、熊本県の女子高生が
“韓国のホンフェとスウェーデンシュールストレミングはどちらが臭いか?”と
いう依頼を出してきて、実際に食べ比べていた。
たぶん「もやしもん」を読んだのではないかと思われる。