貧乏萌え

NHKの朝ドラ「純情きらり」で、主人公の桜子が着ている服が、よく言えば慎まし
やかな、悪く言えば貧乏くさい。


実際、桜子はドラマの中で、裕福な音楽学校の女生徒に
「はっきり言うわ。貧乏人は、音楽家にはなれないの」と
ひどいことを言われている。


確か昭和13年という設定だったと思うが、あの時代の女性の服は、和服・洋服が混在
していたのだろう。桜子の姉たちは、ふだん和服を着ているようだし。
まだ10代の主人公は、精一杯のオシャレをしているのかもしれない。


その桜子の、丸襟の白いブラウスにカーディガン、そしてロングスカートという
ファッションが何ともいえず萌える。
特に、宮崎あおいのような華奢な女の子が着ると、はかなげな感じがして良い。


オタクの世界はいろいろあるから、もしかしたら「貧乏萌え」というジャンルが
確立されており、熱いトークが交わされているやもしれぬ。
まず、「巨人の星」の明子姉ちゃんは外せまい。
あしたのジョー」の紀子も捨てがたい。どうでもいいことだが、ちばてつやほど貧乏を
味わい深く描けるマンガ家はいないだろう。 


70年代のマンガは、貧乏がリアルだった時代だったから、笑いにはしてなかったけど、
80年代に入ると、貧乏がギャグになってしまう。
その走りが、江口寿史の「エリカの星」だろうな。


90年代だと、マンガではないのだが、「とんねるずのみなさんのおかげです」で、
荻野目洋子が「貧乏家の人々」っていうコントをやってたっけ。
(この流れをくむのが、「ハローモーニング」でやっていた頑固一徹家族の
貧乏コントだと思うが、誰も知らないですよね。すいません)


やがて、貧乏ではなく、DQNがギャグになるのが00年代か。
低学歴で低所得の人々が主人公のマンガは、ヤンマガあたりにたくさんあるが、
DQN萌えは、少なくとも私には、ない。


たぶん、貧乏な少女が希望を持ってがんばる姿に萌えるのであって、ヤンキーや
ギャルが欲望を垂れ流している様には嫌悪感しか感じないからだろう。


実際は、貧乏すると心が荒むから、マンガだけの世界で十分なんだけどね。