電波利権

電波利権 (新潮新書)

電波利権 (新潮新書)

愛媛県では、1992年まで民放は2つしかなかった。
ひとつは南海放送日本テレビ系)で、もうひとつはテレビ愛媛(フジテレビ系)だった。
南海放送は10ch、テレビ愛媛は37chで、後者はUHFだったので「ユー」と略されていた。
例:「ちょっと、ユーにしてくれん?」
訳:「ちょっと、(テレビのチャンネルを)テレビ愛媛にしてくれませんか?」


おかげで、私は「超時空要塞マクロス」をオンタイムで見ることができなかった。
あるいは「ザ・ベストテン」を、「宇宙刑事ギャバン」を、「銀河漂流バイファム」を。


その後、1992年10月にTBS系のあいテレビが、1995年4月にテレ朝系の愛媛朝日テレビ
開局したが、テレビ東京系の放送は既存の放送局が別枠で流している。


そもそも、ローカル局というのは必要なのだろうか? 
自社製作の番組は、夕方のニュース番組と深夜のバラエティ番組ぐらいで、ほとんどは
東京のキー局が製作した番組を流しているだけでしょ? 


しかも、地方は人口が少ないから、広告収入だって限られたパイを奪い合っているだけで、
キー局から「ネット料」という名の補助金をもらって、ようやく経営が成り立っている
始末だ。


そりゃ、「探偵!ナイトスクープ」とか「水曜どうでしょう」みたいな面白い番組を
作る能力があればいい。だが、四国松山に住んでいて、ローカル局製作の番組を見て
面白かった記憶はないぞ。悪いけど。


無駄につまんないものを作るよりは、中継アンテナだけにして、東京の放送をそのまま
流してもらう方が、よほど助かるのだが‥‥。


地方にテレビ局がいらないとは言わない。
ただ、政令指定都市ぐらいの規模がないと、人材も集まらないと思う。
だから、どうしてもローカル局で番組を作りたいなら、道州制のブロックごとにひとつ
ぐらいのエリアで製作しないといかんのではなかろうか。


逆に、ネットと放送の垣根がなくなって、地方の面白い番組を視聴者が選択できる
ようになるかもしれないが、たぶん中央集権的な構造はまだまだ続くだろう。


この本では、放送というものが、いかに政治的に利用されているかということが
非常に具体的に書かれており、自分に都合の悪いことは新聞・テレビがほとんど
報道していないことが分かる。


地上波デジタルが、いかにバカらしいものか、ぜひ読んでいただきたい。