料理人

テレビを見てたら、日本人のフランス料理のシェフたちが集まって、これからも技術の
研鑽をしよう、と誓っていた。村上信夫という伝説のシェフの弟子たちだったのだろうか。


考えてみれば、日本人が当たり前のようにフランス料理を勉強して、店を出していると
いうのはすごいことだ。
フランス料理に限らず、イタリア料理や中華料理もそうだけど、日本で生まれた人が
外国で修行して、別の国の料理のプロになるってことは、いかにも不思議である。


だって、逆の立場で考えてごらんよ。
よその国に、日本料理の板前さんがどのくらいいるだろう? 白人や黒人の職人さんが
和食の鉄人としてテレビに登場するかどうか。


基本的には、フランス人はフランス料理を、イタリア人はイタリア料理を、中国人は中華
料理をそれぞれ習うのが普通だ。
そして、本場の人が別の国へ行って店を出す。
中華は、どこの国でもあるよね。でも、料理人はほとんど中国人か少なくとも東洋人の
はずだ(厨房まで行って確認したわけじゃないけど、たぶんそう)。


何で日本人は、フレンチ・中華にこれほど人材を投入しているのか? 
答えのひとつとして考えられるのは、日本での需要があるからだろう。
大都市では、世界各国の一流の料理が楽しめる。日本も例外ではない。
(ただし、失礼ながらマイナーな料理は日本人の料理人があまりいないようだ。
ギリシャ料理やタイ料理など‥‥)


もう一つは、日本人向けにアレンジするためだろう。
古くは、明治時代に輸入された西洋料理を「洋食」というものにしたし、ラーメンや
カレーライスだって日本独自の進化をしてきた。


食という、とても保守的なものを、敢えて外から取り込んで、なおかつ日本風にしてしまう
力って、世界に誇るべきなのかもしれない。
オリジナルを求める人には不愉快だろうけどね。