美人主義

時代や地域によって美人の基準は違うだろうが、人類はずっと美人主義を貫いてきたと
思う。美人というのは、若くて美しい女であり、男に(セックスしてーなー)と思わせる
女のことだ。


当たり前のことだが、男にとって(セックスしてーなー)という女の基準はバラバラで
あり、美人というのも大変バラエティに富んでいる。
とはいえ、各時代や地域によって、一定の美人グループと、そうでないグループという
のは厳然と存在していたわけで、不細工に生まれてしまった女というのは不遇だったの
だろう。


映像メディアが発達した時代以降は、この峻別が大きく共有された。
一生めぐり逢うチャンスはないのに、(セックスしてーなー)と思う女が次から次へと
供給され、男たちの美人観はある意味で教育されていった。


そうなると、割を食うのは普通の女たちで、特別に美人ではないがそこそこイケてる
んじゃないか、という彼女たちは、雪崩をうつように美人を模倣する。


一方、美人でない女だって人間だ! ブスで何が悪い! という声だってあるはずで、
それがフェミニズムではないかと思う。
フェミの人からすれば「アホか」という話だろうけど‥‥。


しかし、人類はというか男は、美人が好きなのである。
どうしようもない事実で申し訳ないほどだ。


そして、それが高度資本主義と結託してしまうと、世の中でいちばん得をするのは
若くて美しい女だけになる。
そういう女を中心に、金のある男やセックスアピールのある男が群がって、台風や
ハリケーンのような渦を作っているのだ。
不幸なのは、その嵐に巻き込まれる一般の人々だね。


多くの哲学者たちが独身だったり同性愛者だったりするのも、この美人主義のせい
かもしれない。
人類は、美人をどうすることもできんのである。