*[映画]ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝

公開二日目、日曜日のレイトショーで観客は20人ぐらい。
TVシリーズの2話分を見た感じで、佳話だったが凡庸という印象だった。


京アニ事件の二日前に完成していたそうで、それを思うとエンドクレジットの
名前を見るのが辛い。
それでも、もしあの災厄がなかったとしたら、TVシリーズが好きだった人が
劇場で見て、よかったね、と言って終わる作品だったと思う。



私が気になったのは、テイラーの歯だった。
なぜ彼女の歯だけが妙にリアルに描かれていたのか。


文字を習いつつある子なので、まだ文明化していないというイメージだった
のだろうか。
それとも、たくましく生きている孤児、という印象を与えたかったの
だろうか。
他の京アニ作品でも、あんなに歯を描いたキャラクターはいなかったような
気がする。


テイラーを演じていた悠木碧は素晴らしかった。頭一つ抜けていたと思う。
この役でなにかの賞をもらったらいいな、と思った。

Eテレ「ららら♪クラシック」で、“トムとジェリー”の音楽が

いかにすごかったか、という番組をやっていた。

当時の記録では、アニメの動きと音楽がシンクロするように

きちんと設計図が書かれていた。

いまの日本のアニメだと、絵コンテでどういう音楽を流すか

決めているはずだが、フレーム単位で指定することは珍しい

と思う。

さすがに30分アニメでそれは無理だが、“トムとジェリー”の

ような5分ぐらいのアニメならば可能かもしれない。

誰か挑戦してみてくれないだろうか。

朝ドラ「おしん」の再放送を楽しみに見ている。

昔も見たはずだが、内容をすっかり忘れていた。

 

いまは関東大震災ですべてを失ったおしん夫婦が、夫の故郷の

佐賀に落ち延びて、夫の実家で暮らしているところである。

その実家で、おしんも一度は逃げ出すほどの凄まじい嫁いびりが

あり、さすが橋田壽賀子、嫁姑の諍いを描かせたら日本一である。

 

このドラマは放送当時の1983年から過去を振り返る話になっている。

乙羽信子が、裕福になった老齢のおしんを演じており、視聴者は若い

ときの苦労もやがては報われると安心できる。

 

 

どうもこの当時の橋田壽賀子は、昔の日本では、田舎の農家にはロクな

人がおらず、文化的な人間は東京に集まっている、と考えていたようだ。

おそらく彼女の経験から、そう思ったのだろう。

 

なので、山形や佐賀の農家の人が見たら不愉快な描写もあったと

思うが、あながち間違いでもなかったと思う。

 

こうした素朴な東京への憧れが、いまも続く一極集中の原動力に

なっているような気がする。

それは裏返せば、田舎の人間が昔からあまり変わっていないことの

証拠かもしれない。

 

かといって、東京に住んでいる人がみんな洗練されて文化資本

豊かに持っているわけでもない。

 

このまま格差が拡大して、東京に巨大なスラムが誕生する前に、

なんとか一極集中の歯車を逆転できないものだろうか。

 

今期はたまたま「魔法少女まどかマギカ」と「PSYCHO-PASS」が

放送されている。どちらも虚淵玄の脚本だ。

私が面白かった虚淵脚本のアニメは、これらと「翠星のガルガンティア

だった。

 

ぼんやりと「PSYCHO-PASS」を見ていてようやく気がついたのだが、

虚淵脚本の妙は、人知を超えたものに対して人間が一撃を加えることに

あるのではないか、ということだ。

 

人知を超えたものとは、キュウベエでありシビュラシステムであり

ストライカーである。これらは高度な合理的判断を最優先する一方で、

人間を抑圧する。

それに対して主人公は人間の情を根拠に痛恨の一撃を放つのである。

 

こんなことはもうとっくに語られているとは思うのだが、自分が好きな

パターンを発見できたので書き残しておいた。

 

都会ではウーバーイーツという出前が流行っているという。

なんで自分で買いに行かないのか、正直よくわからない。

面倒くさいから、という理由だけなのだろうか。

 

東京にいたとき、わりと気軽に出前を頼んでいたのに内心

驚いていた。松山でも出前を頼む人はいたのだろうけど、

うちでは一度もなかったので。

(大坂の人も出前はよく利用するのだろうか?)

 

 

飲食店の従業員が出前をするのはまだしも、ウーバーイーツは

アルバイトが運んでくるそうだ。

言い方は悪いが、パシリである。焼きそばパン買ってこいよ、

と(お金を払ってではあるが)命令している。

 

金を払っているし双方合意の上なのだから、何の問題がある

のか、と思うだろう。

なんだか買春をした男の言い訳のようである。

 

出前と買春は違うのだが、心を蝕むものは似ている気がする。

自分で買いにける人は、自分で買ってくるべきなのではなかろうか。

 

*[本]ナミヤ雑貨店の奇跡

ナミヤ雑貨店の奇蹟

ナミヤ雑貨店の奇蹟

殺人事件を扱ったものではなく、時空を超えたSFっぽい作品だった。
同じようなネタで「オーロラの彼方へ」という映画があったっけ。
本作はミステリ作家らしく、最後にパズルのピースがビタリと合う
ような整合性が気持ちよかった。


ただ、この小説を映画化するとなると、構成をかなり変えなければ
ならないのではなかろうか。
すでに映画化されているのだが、まだ見ていない。
あまりヒットしなかったようなので、どんな作品だったのかちょっと
不安だ。いつか見てみたい。